2017/04/21(金)『絶望と、仲良く。』 少女終末旅行・マンガ紹介

ちわっす。ベンプです。

今日はマンガの紹介。バンチコミックスから出てるつくみず著・「少女終末旅行」です。 

 このマンガはwebで連載しているので、見たけりゃwebから見れます。

少女終末旅行 | くらげバンチ

 

ほのぼのディストピアトーリー、と銘打ってあります。多分一巻の帯とかに。

あらすじは…終わってしまった世界を二人の少女・チトとユーリがケッテンクラートに乗って延々とどこまでも続く廃墟をただ生きていくために旅をするというものです。

この物語にはチトとユーリ以外にほとんど人は出てきません。現在四巻まで出ていますが、この旅でチトとユーリが出会った人は二人だけ。延々と草も木もない廃墟の中を旅をして、生きるためにただ生きます。

はっきり言って完全な"絶望"です。人は他ならぬ人そのものによってほとんど滅んでしまい、食べるものもはるか昔からある保存食ばかり、残ったのは人が作った建造物、機械、システム、武器……そんな世界を二人は旅をします。ケッテンクラートに乗って。

でも二人は人類が辿ったであろう歴史に少しだけ思いを馳せながら、旅をするなかでいろいろな出会い・体験をします。その出会いも主に機械やシステム、不思議な建造物とですが…

 

僕がこのマンガを紹介するのはなぜかというと、心打たれるシーンが非常に多いからです。

なんともいえない気分、ノスタルジックというのかなんというか…なんともいえない気分になります。見開きのページが非常に美しいことが多い。世界観が秀でているマンガです。かわいらしい絵柄なのに…

言うまでもなく衣食住すべてに困る世界で、絶望は絶望なのですが、みなさん"諦める"ってそう悪いことですかね?かつてあったかもしれない衣食住に困らぬ恵まれた暮らしを"諦めない"からこそ僕の目には、読者の皆さんには、このマンガの世界が"絶望"そのものに思えるわけです。

ただ、さっぱりといろんなことを諦めてしまうことで絶望と仲良くなれます。チトとユーリはこの状況を受け入れ、生きるために生きてます。恵まれた暮らしの中にある僕にはこの二人が羨ましくさえ思えます。ただ、生きるために生きれたら………

 

二人は、旅の途中で「イシイ」という人間に会います。(二巻)

このエピソードは僕がとても気に入っていて、事の顛末がまぁバッドエンドっちゃあバッドエンドなのですが、「もしかしたら、長い間頑張って頑張って頑張ってきたことが失敗することって、そんなに悪いことでもないのかもしれない」とまで思わせる超美しい見開きページがあります。絶望と仲良くなった結果ですね。

 

この漫画においてチトとユーリは旅をしていますが、旅の目的、っていうのは別にないんですよ。旅自体には意味はありません。ただ、上を目指す。延々と続く廃墟の上に向かってケッテンクラートを走らせます。この二人のスタンスが漫画の世界観に非常にマッチしてるんですよね。終末に向かう世界で二人あてどなくなんとなく上に向かって旅を続ける……そういうゆる~~い絶望を体験できる漫画です。

 

この漫画の途中で、あるいきさつから地球の命が完全に尽きたことを知るのですが、その時のチトとユーリのセリフが僕は非常に気に入ってます。

 

「……」

「ねぇ ちーちゃん 地球終わるんだって」

「…うん まぁ…どうでもいいことだろう…」

 

よくないすか?「地球が終わる!」って事実を一切騒ぎ立てることなく受け入れます。ある一種の「自分たちにはどうしようもない」という"諦観"にも似た心情が読み取れます。

この時の見開きページも非常にいい。良すぎる。額縁に飾れる。

 

などなど、結構な「面白い」というよりか「魅力がある」って感じの漫画です。

で、もしかしたらここまで読んでくれて、「文字ばっかで読みにくいなぁ…漫画の画像とか貼ればいいじゃん」とか思った人いるんじゃないんですか?

絵がクッソうまいので買って見てください!!!

って感じであえて画像貼りませんでした。みんなで絶望と仲良くなろうよ。

 

んじゃ、ベンプでした。またね。