2017/02/23(木) リボンの武者はスピンオフとしては失格
どもども、ベンプです~
今日はガールズ&パンツァー リボンの武者の最新巻、六巻の発売日で僕ももう購入して読了しました。でも今回は六巻の感想ではなくこのリボンの武者に対していろいろ思うことがあるのでそれについてちょっと書こうかなと。
ガールズ&パンツァー リボンの武者 6<ガールズ&パンツァー リボンの武者> (コミックフラッパー)
- 作者: 野上武志,鈴木貴昭
- 出版社/メーカー: KADOKAWA / メディアファクトリー
- 発売日: 2017/02/23
- メディア: Kindle版
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突然ですけど、みなさん「スピンオフ作品における成功」ってなんだと思いますか?純粋な面白さですか?キャラクターの魅力をさらに引き出すことですか?
僕は原作ファンが納得できることだと考えています。面白さは二の次です。面白くなくても原作ファンがスピンオフ作品の世界観に納得し、キャラクターの扱いに納得し、ストーリーにこういう話もまぁアリだねと納得することだと思っています。
じゃあ今も根強いファンがたくさんいるガルパンの魅力ってなんだと思いますか?僕はこう考えています。「日常系のアニメでかつ戦車道というスポ根要素が熱く、面白い」ということ。
原作アニメのガルパンでは、戦車道は清く正しく楽しく安全な乙女の嗜みと描かれています。実際そういうふうに物語は進みますが、同時にスポーツでもあるのでその熱さも描かれ、そういったスポ根要素もオタクたちの心をくすぐりました。
ではこのガルパンスピンオフ作品、「リボンの武者」はどうなのか?
スピンオフという事、その点においてリボンの武者はとんでもない失敗作です。
ざっくりですがリボンの武者の紹介をしましょう。
本編ガールズ&パンツァーの少し後、大洗女子による戦車道下克上旋風が吹き荒れた後の時間軸から物語は始まります。大洗女子の躍進をみて戦車道に憧れた松風鈴と同じように大洗女子を見て"戦車で輝いてみたい"と思う鶴姫しずかが強襲戦車競技"タンカスロン"に挑むお話です。
このタンカスロンがクセモノで、戦車道連盟非公式のためルール無用、裏切り奸計増援同盟なんでもござれ、観客への配慮もなし一般人も巻き込みたとえ死んだとて自己責任というまさに戦車"戦"と言える内容です。
ここまででどうでしょうか?僕はこれは戦車道とは大きくはずれており、スポ根要素があれどあくまで清く正しく日常系の域を出きらない本編ガルパンとは大きくかけ離れています。
そしてまぁスピンオフなのでもちろんですが、本編のキャラクターたちもこのタンカスロンに大きく巻き込まれています。本編のキャラたちがなんでもありのタンカスロンに巻き込まれてしまう。この時点で原作の世界観を大きく損ねていて、つまり原作ファンが納得できるわけがなく、スピンオフとしては明らかな失敗作だといえます。
あと主人公二人の鈴としずかの百合や、随所に見えるお色気路線等も原作の世界観を損ねています。
だがしかしどうでしょうか。僕は失敗作だとは言いましたが面白くないとは一言も言ってません。
原作の世界観にそぐわない、ということは「別の切り口から攻めた」という意味にも捉えられる。この漫画はまさにそれで「戦車道のないガルパン」だといえます。
アニメの柔らかな雰囲気をなくすと、そこにあるのは戦車本来の鉄と火薬の匂いです。戦車同士の闘い、チームとしての闘い、勝利をなんとしてももぎ取る精神、そういった熱い部分に特化しており非常に面白いです。
原作キャラがタンカスロンに巻き込まれていき、その勝手知りたるキャラクターたちがタンカスロンではどういう行動を取るのか、どれほどの実力なのか、ワクワクしてしまいます。
そして、原作の考証がすごい!アニメ本編の制作に関わっていた野上武志、鈴木貴昭両名が描く作品ですから、スピンオフとしては失敗だと言いましたが各高校が抱える背景や各選手が抱く心情の描写はさすがです。特に黒森峰についてはハッとさせられました。これを読んでそういうことか…と納得することも多いです。時期的に"大洗優勝後"ですから代替わりなども考えられていて、黒森峰ならエリカ、サンダースならアリサにそれぞれ思いを馳せる西住まほ、ケイの描写等もさすがと言わざるを得ません。
この漫画を読むことによって、ガルパンへの造詣が深まることは間違いないでしょう。
ぜひともガルパン好きには読んで欲しい漫画です。
僕の定義としての"スピンオフ"としては失敗なのだが、ガルパン世界を下地にした漫画だと考えればこれほど面白い漫画もありません。みなさんもぜひ。